case 症例紹介
上顎前歯部の審美治療
30代の患者様です。
10代の頃に受けた外傷によって左上の前歯が失活し、時間の経過とともに着色を帯びて来られました。
歯を白くされたいとのご希望で当院に来院されました。
【治療内容】
全顎 デュアルホワイトニング
11 ダイレクトボンディング
21 ジルコニアセラミッククラウン
【治療期間】
約4か月(デュアルホワイトニング:約2週間 ダイレクトボンディング:1日)
【副作用】
デュアルホワイトニング:後戻り、知覚過敏、ホワイトスポット等
ダイレクトボンディング:破折、変色等
ジルコニアセラミッククラウン:破折等
【治療費用】
デュアルホワイトニング:55000円
ダイレクトボンディング(複雑):33000円
ファイバーコア(1本):11000円
仮歯(1本):11000円
ジルコニアセラミッククラウン(1本):132000円
※画像の掲載に関し、ご本人様の同意を得ています
※治療期間中は仮歯(有料)が入っており、審美的・機能的に問題なく過ごすことができます
※治療費は不定期に変動します(本記載は治療当時の価格となります)
※本症例より、ホワイトニングの呼称を『医療ホワイトニング』としております。
初診時 口腔内写真
左上の1番は失活歯という神経の無い歯です。失活歯は時間の経過とともに内部が黒ずんできて、周囲の歯よりも濃く変色します。このような歯は、通常のホワイトニングで白くすることが難しいです。
失活歯のホワイトニング方法には、フィルホワイトニングといって、歯の裏側に穴をあけて歯の内部に薬剤を入れ歯を白くする方法があります。臨床的に、歯が割れやすくなるというリスクを伴う治療法であると考えています。
当患者様の場合、噛み合わせの観点から、フィルホワイトニングでは破折のリスクが高まるためお勧めはできません。
また、当該変色歯だけではなく、前歯の隙間に対する審美的な改善や全体的なトーンアップを図るため、
①歯のホワイトニング
②右上1番のダイレクトボンディング
③左上1番のジルコニアセラミッククラウン
このような流れで治療を行いました。
治療途中 口腔内写真
デュアルホワイトニングによって歯全体のトーンアップを行った後、右上1番のダイレクトボンディングを行い、歯の隙間を改善しました。
左上1番を最終の仮歯に置き換えたところでのお写真です。最終仮歯によって歯肉の形態を整えながら、最終的なイメージを作ります。
治療後 口腔内写真
ひとつ前の写真から、
左上1番 ジルコニアセラミックスクラウン(final)を装着した後の口腔内写真です。
当患者様の場合、もともとの歯の変色が濃いため、ジルコニアセラミッククラウンをご提案しました。
ジルコニアセラミックは、オールセラミックと比較して、元の歯の色が透けにくいという特徴を備えます。歯の黒ずみを遮断しながら、ご自身の歯に似せることが可能です。
反対同名歯(右上1番)の歯の個性(色、形態、質感、ホワイトスポットの現れ方など)を表現したジルコニアセラミッククラウンを作っていただきました。
歯肉のラインも比較的左右対称にでき、十分な厚みを持たせられていると思います。
治療前後の比較
ダイレクトボンディング(水色)
ジルコニアセラミッククラウン(黄色)
最後に、ホワイトニングとセラミックの組み合わせ治療についてです。ホワイトニングの視点からは、セラミックを入れる前に後戻りしにくい白さまでトーンUPしておくことが大切です。それにより、時間の経過とともにセラミック周囲の歯の色が後戻りしてセラミックの色が極端に浮く、ということが避けられると考えています。
本患者さまの場合、薬剤に対する反応が良好で、2週間で順調にトーンアップしました。特に、上顎の犬歯の黄ばみがしっかりと取り除けています。(ピンク色)通常、犬歯は黄ばみが強い歯で、正面からよく見える歯なので、犬歯の黄ばみが取り除けていることで、お口のイメージが明るく若々しい印象に変化されたと感じています。
数か月にわたっての治療となりましたが、治療へのご協力、ならびに、症例掲載へのご協力を賜り、誠にありがとうございました。